実家を出た。

最後の記事を書いてから大分時間が経った。

2014年6月末、私は遂に実家を離れ長年の悲願であった一人暮らしを始めた。

とはいっても実家から車で30分ほどの場所に安アパートを借りたのであるが、今までの人生で一度も両親と離れて暮らしたことのない私には大きな第一歩だった。
実家を出ようと思ったきっかけは父と弟の就職という経済的な理由だった。
両親には無論抵抗されたが、直前まで内密に物件探しを進めていると順調に事が運び、意外なほどスムーズに実家を出ることが出来た。

一人での生活は天国のようだった。

それまで何をするにも両親の顔色を伺っていたが、一人で暮らすとなると好きな時間に好きなことをして好きな人と会うことができる。
教義上飲酒が禁じられていたため自宅では酒を一滴も飲めなかったが、自分のアパートでは好きな時に晩酌を楽しむこともできる。
料理や掃除など普段は面倒な家事でさえ楽しかった。

生まれて初めての自由を謳歌していた私は、一時的に家庭の悩みを忘れることが出来た。

だが、生き辛さは常に付いて回った。
何処にいても誰といても違和感や疎外感を感じるのは変わらなかった。

2つの世界を長期間行き来した結果、独自のものの感じ方や価値観が形成されてしまったようだ。
きっとここは、その価値観が合う社会ではないのだろう。